私の好きなロック 今日の1曲

私の好きなロック(主に洋楽、たまに邦楽)を毎回1曲ご紹介します。

80.春だったね’73:吉田拓郎 (1973)

よしだたくろうLIVE’73の一曲目。

 

LIVE’73

LIVE’73

 

以前このブログで「サディスティック・ミカ・バンドが日本のロックのはしり」と書きましたが、本当の走りはこの人だと思います。生まれて初めて買ったLPも、この人のです。

 

でてきた頃は、フォーク・シンガーと呼ばれていましたが、そんな枠に収まらず、ロック・バンドとブラスをバックに、このライブでガンガン行きます。ボブ・ディランっぽいですね。

 

春だったね は、私が生まれて初めて買ったLP「元気です。」の一曲目でもあります。初めて聴いたとき、曲や拓郎のかっこよさにぶっ飛びました。このライブでは、バックがさらにロックぽくなっており、完全のロックのライブ・アルバムです。

 

きれきれのギター(何と高中!)とブラスに導かれて御大登場。ボーカルの音量が若干低い気がしますが、これも意図的でしょうか。スタートを抑えめに歌う拓郎(緊張?)も、カッコいいです。ちなみに、ボーカルはだんだんヒートアップしていき、最後の「望みを捨てろ」は、ほとんどがなっているだけ(笑)

 

なんとなく、感覚的な話ですが、この人が 日本で歌謡曲ではない売れる音楽を作って演った、最初の人だと思っています。

 

79.I’m a Camera:Mark Jordan (1979)

アルバム Blue Desertから

 

Blue Desert by Marc Jordan (2010-08-25)

Blue Desert by Marc Jordan (2010-08-25)

 

 

このブログを始めたときから Airplayというバンドについて書きたかったんですが、残念ながらこのバンド、唯一のアルバムをだしたのが1980年なんです。まあ80年代のアルバムを紹介したからと言って誰かに怒られる訳ではないんですが、なんか約束を破るみたいで、避けてました。

 

で、先日、同じJay Graydonがプロデュースしたこのアルバムを思い出し、これも80年代だと思ったらなんと79年だったので今回ご紹介することにしました。

 

この曲は学生時代から何十回も聴きましたが、実はこの Mark Jordanというアーティストのことはほとんど何もしりません。じゃー何を聴いているのかというと、Jay Graydonのギターです。

 

曲の始まりは当時流行りのAOR。ふんふん オシャレだねと気を抜いて聴いていると、中間のギターソロで景色が一変します。蕾ばかりでしかも枯れかかっていた花瓶の花束が、急に息を吹き返して咲きだしたよう。このギターの音・フレーズはどうでしよう。

 

しかしこの間奏はまだ序章でした。地味なボーカル(失礼!)に戻り、女性ボーカルとの掛け合いで若干盛り上がったあと、「どけー」という感じで、もう一回ギターソロ。こんなに主役を喰ってしまっていいんだろうかとほんの一瞬だけ心配になりますが、さらなる高みに向かうソロで昇天します。ソロの最後でチョーキングダウンの繰り返しで、ヒューんと音が下がっていく部分がありますが、そんなアイディアも含めて、何回でも聴きたいギターソロです。

78.In The Flesh?:Pink Floyd(1979)

アルバム The Wallの一曲目

 

Wall (Remastered Discovery Edition)

Wall (Remastered Discovery Edition)

 

 

最初の変な音楽は、アルバムの1番最後から繋がっています。その話は置いておいて、いきなり始まるこの重い音は何なんでしょう。凡百のハードロックバンドを蹴散らす重さです。マジでツェッペリンに比肩する重さです。いつものもたり気味のドラムも貢献していますが、やはりギルモアのギターですよね。フレーズも音もロックし過ぎ。

 

そして、ロジャー・ウォーターズのいっちゃっているボーカルです。ロジャーがいなくなってからも、ギルモアのボーカルでPink Floydは存続しましたが、やはりギルモアのギターと共にこのボーカルがないと。。

コーラスに続いて、早くも曲はクライマックス。飛行機の音がだんだん大きくなってきて、ロジャーの気狂いの叫び、飛行機の墜落?、そして最後は赤ちゃんの泣き声のみ。。鳥肌というか、この曲だけでこちらもおかしくなっちゃいます。

 

所謂ロックオペラって、Tommyとかいろいらありますが、私が知っている範囲で感動できたのはこの The Wallだけです。最初に聴いた時は感動というか、呆然としました。音だけでこんな凄いんですから、ステージは凄まじかったことでしょう。

 

Pink Floyd版は未だ映像化されていないと思いますが、ベルリンの壁崩壊の時の、ロジャー単独のステージもすごかった。ステージの最初に、スーツ着たおっさんが注意事項みたいのを述べてるんですが、その最中に火花と共にこの曲が始まり、曲の最後には飛行機がステージに突っ込んでくるという。。

あー またアルバム通して聴いてしまいそうです。

77.It’s A Laugh: Daryl Hall & John Oates (1978)

アルバム Along the Red Ledge から

 

ALONG THE RED LEDGE [CD] (ANNIVERSARY EDITION)

ALONG THE RED LEDGE [CD] (ANNIVERSARY EDITION)

 

 

Hall & Oatesというと、80年代に 出す曲出す曲 No1となり、産業ロックとか言われていた気がしますが、70年代はまさに ブルーアイドソウルという感じで、ソウルな感覚とロックな音の上でキャッチーなメロディーという、とってもステキな音楽を創っていたと思います。

 

この曲も、ソウルフルなドラムと菅のカッコいいイントロから始まります。Aメロはまあまあ、その後 目の覚めるようなギター(グレイドン?)、と必殺の殺しのサビのメロディー+泣かせるコーラス。このあたりの展開は、プロデューサーのデビッド・フォスターの力によって、より洗練された気がします。

 

Hall & OatesとDavid Fosterの組み合わせって、いろいろ議論があるようですが、私は次のアルバムの Waits For Meも含めて、大好きです。

 

76.天気雨:荒井由実 (1976)

アルバム「14番目の月」より

 

14番目の月

14番目の月

 

 

やはり、Lee Sklarがベースを弾いている曲をご紹介、しかもユーミン

まず、ユーミンがロックか という話もありますが、この曲はLee Sklarのベースによって、ロックになっていると思います。

イントロの最初のピアノとコーラスは、まさに当時流行りのニューミュージックですが、ブーン っとグリッサンドでベースが入った瞬間から曲の様相が一変し、ブレイク→ボーカル「波打ち際を」→再度ベース グリッサンドで、完全にロックになります。

 

普通 歌もののバックで、こんな金属的な音でベース弾かれたら、ボーカルはたまったもんじゃないと思いますが、何故かこの人のベースは邪魔をしません。前回も記述しましたが、変に目立たないけど目立つ。本当に不思議です。

「みるみる煙る水平線」のあとのフレーズなんて、なんなんでしょう。ハードロックか?とう感じです。

 

ユーミンの旦那さんが確か本でSklarのベースについて「この人がバックでベースを弾くと、自分の弾くキーボードがうまくなったような気がする」とか書いていた気がしますが、なるほどという感じ。

 

ところでこの曲、曲も明るくていいし、歌詞も「まるで私の恋を注意深くかわす様に」とか「ほんの少し感じるかも」とか、ユーミンの才能 大爆発ですね。大好きです。

 

 

 

75.Your Smiling Face:James Taylor (1977)

アルバム JT の一曲目

 

JT(期間生産限定盤)

JT(期間生産限定盤)

 

James Taylorがロックか? という話もあるかと思いますが、この曲はアップテンポで軽快な曲です。

 

イントロから、ロックというか当時流行りだしたクロスオーバーな感じ。快適なバックに乗って、James Taylorがキャッチーなメロディを歌います。

 

しかし、この曲で個人的に おーーっ となるのは、No One Can Tell〜 のところからのベースです。ここ、いきなりドラムとベースだけになるのですが、全く薄さを感じず、逆に迫力を感じるほどで、これはひとえにベースのフレーズと音色だと思います。

 

ベースを弾いているのは、リー・スクラーという顎ヒゲをお腹の辺りまで伸ばした、ZZ Topみたいなおじさんです。確かJame Taylorがデビューしたての頃から弾いていたと思います。Fusion系のバンドではめちゃくちゃ早弾きもするのですが、こういった歌ものでの この人のプレイはホント素晴らしい。変に目立たないけど目立つ(?)という感じです。

 

すみません、ベースの話ばかりになってしまいました。しかも次回もリー・スクラーを紹介してしまいそうな予感。。

 

74.Street Fighting Man:Rolling Stones (1968)

アルバム Beggar’s Banquetより

 

Beggars Banquet

Beggars Banquet

 

Stonesというと、以前ご紹介した Honky Tonk Womenのように、所謂「緩い」感じがカッコいいのですが、この曲はビックリするくらい「締まって」います。

 

最初の生ギターの音からして、いつものカントリーっぽい呑気な雰囲気は微塵もなく、続くドラムの音も弾丸を撃ち込んでいるよう。そしてミックのボーカル。「ぎみー ざ ほんきぃとんく ぶるーす」とか歌っている人とは別人のような緊迫感。その後 oasisも含めて色々な人達がこの曲をカバーしていますが、誰もこのバージョンのレベルに達していないし、私の知る限り、Stonesさえも達していないと思います。

 

緩いStonesが好き と以前書きましたが、この曲だけは別格です。なぜ突然、こんな曲ができ、こんな演奏ができたんでしょうか?バックで不気味に流れるシタールも効いているし、あまり語られませんがビル・ワイマンのベースも重要だと思います。

 

この頃のStonesのイメージって、Satanic Majestiesのようにビートルズの真似しんぼというイメージがあり、このBeggars Banquetも真っ白なジャケットがオリジナルだと思っていたので、「またかよ」と思いながら聴いた覚えがありますが、悪魔を憐れむ歌 で おっ と思い、この曲でぶっ飛びました。Stonesが大きな一歩を踏み出したと思いました。